2008/01/17 ガラスから写真へ

健康上の理由で重いガラス作品の制作が難しくなりました。今後の事を考えガラスを卒業することにし、療養の傍ら写真を撮り始めました。今までも写真は撮っていましたが、あくまでも「ガラス」が主役。表現が制限されました。写真を撮り始めると今までガラスと向き合うことで気づいたいくつものテーマ(光、影、透明性、フィルター、反射、液体、固体、空気感 etc.)が表現しやすい事に感動しています。そして、これから勉強することが沢山あるって楽しいことですね。今までブログで作品を発表してきましたが、もう少し整理してこちらでもミニギャラリーを作る予定です。HPトップの写真「花影」、最初にご紹介する私の作品です。

2006/11/06 Tokyo designers week - "Window glass" again

"Window glass " designed by Emi Murakami

先週は東京デザイナーズウィークでした。メインの会場である100%designを見に行きました。去年から発売になっているWindow glass が発売元のhconceptのブースで今年も展示されていました。去年と違うことは様々なインテリアグッズ系のお店で、明らかに影響を受けたと思われるストライプ、斜め格子、縦格子のビッグカップのデザイングラスが売り出されたことです。これは予想外のことでした。私の作品は当初アートとして考えたものでした。しかし、日本ではアートの市場が小さいのに対して、デザインの市場は大きくて、かなりエッジーなものもプロダクトデザインとして売り出せるという特異な状況があります。そういう状況の中で、2005年Window glass は世の中に飛び出していったのでした。アーティストが個展という形式でお客さんに見てもらえるのはがんばっても週に500人ぐらいです。それに対してデザインという形式にすると何万人もの人が見てくれます。似たプロダクトが出てきたことに関してはちょっと複雑な思いがありますが、自分が彼らのオリジナルになったということはアーティストとしてはかなり面白い体験です。

Last week was Tokyo designers week. I went to see "100% Design TOKYO" which is big interior trade show. My "Window glass" which have been released by hconcept 2005 were exhibited this year also. The situation has changed between 2005 and 2006 about "Window glass". Many major interior shop became to treat designed glass which were clearly influented by my "Window glass" but more commercial. I didn't expect it. I have made" Window glass" as Art at first. But there is a curious situation in Japan, sometimes edgy and marginal art are more acceptable if it is a design, because Design market is much bigger than Art market. Actually last year 70,000 people came to visit this show in five days. It is very interesting for me as an artist that I became their original, although I have complex feeling about their simillar products but no concept.

2006/10/09 comb honey comb honey comb honey...

このところ、ハニカム構造を調べています。もちろん新作の作品と関係がありますが、まだ秘密!comb honeyとは巣蜜のことです。このまま全部食べられます。濃厚で美味しい。大きさは左の写真が断面で厚みが2.2cm程、養蜂場では巣箱の両面から巣を作るのでダブルになっているらしいです。6角形の直径は5~6mmです。蜂蜜のことを考えるとsweetな気分になりますが、ハニカムの方はかなり現実的で合理主義的なハチの世界を映したhardなもの。甘辛な作品になりそうです。それにしても、ハニー色って魅力的。

I 'm studying honey comb structure. It's related to new pieces. How? It's secret for a while. Comb honey is not only their home but also tasty food. While honey is sweet, honey comb is hard which reflects the honey bee as realist and rationalist. The latest work would be sweet and hard. Anyway, the honey color is very attractive!

2006/09/14 ガラス(質)の土 ハワイの溶岩 Lava in Hawaii island

9月の頭にハワイ島に行ってきました。空と山と溶岩と海でできている島です。ガラスは地球の成分と近い組成を持っています。ガラスは人工的なイメージが強いですが、今回溶岩を見て自然のイメージが強くなりました。溶岩は岩石が1000度から1200度で溶けたもの。ハワイ島の高温で溶けたpahoehoe溶岩は黒くて艶があり、ガラスではありませんが明らかにガラス質の性質を示しています。そのpahoehoeが更に移動しながら温度が低くなりガスも抜けて700度ぐらいで固まったものがaa溶岩で艶がなくボソボソした岩石のようで色も薄いです。でも、今回は溶け出している溶岩を見た訳ではないので、その具体的な作られ方の詳細はわかりません。なぜ、 グラスアーティストの私がこの2つのタイプの溶岩に注目するかというというと、ガラスの技法のホットキャストとパート・ド・ヴェール技法に重ね合わせてみる事ができるからです。前者は高温で1200度以上温度が必要なはずで、溶けたハチミツのように流動性があるので砂や金属の鋳型に流し込んで成形します。後者は低温で800度前後の温度で耐火石膏やセラミックの型にあらかじめガラスをセットして炉で焼成して成形します。中間の技法もありそうなものですが、成形の手法や徐冷の方法が複雑で、あるかもしれませんが一般的ではありません。理由は違うと思いますが溶岩も2つの温度帯で分類されているので、何かこれには訳があるのか知りたいところです。

話は変わりますが、この溶岩が土に変わるまでには途方もない時間がかかります。実際、ハワイ島の山は日本の山と違って土があるところでもやせていてハゲ山のようなのです。農地もほとんど見かけませんでした。植物、特に動物の種類が少ないのです。そのせいか虫も少ない。ハエはいましたが蚊がいませんでした。そのおかげで快適だったのですが、日本の雑草と虫(蚊はいらないのですが. .) も土が豊かで降水量が多いおかげで存在している訳でなんだかありがたく感じられました。

I went to Hawaii island september 2006. Hawaii island is made of sky, sea, moutain and lava. Lava is rather glass than rock. It takes long time to change soil from lava. That's why mountains of hawaii is bare mountain. Thanks to lava, there is few insect. No mosquito in summer time! It was very confortable.

2006/09/01 役立つこと アート デザイン 自然

REALTOKYO のOut of Tokyoを見ていたら文化官僚氏の「役立つアート」発言とその反論の部分が気になりました。私は個展では役立たないことが多いグラスアート作品を発表し、その一方でarchitectural glassという分野では役立つ(使える?)作品を作っています。どちらも、現代的な物語性や周囲との関連を重視しているので、私は二つの活動をそれほど分けて考えていません。だが、デザインの世界では当然のこと、アートに関しても全体の空気として「役立つ」ことが求められることが多い昨今です。私は最近、テーマとして庭を扱っていることが多いので、自然との関連を考えてしまいます。自然は人に役立つこともあるが、逆に台風、地震など危険な存在でもあります。それでも人は自然を排除できないし、そこから学ぶしかありません。ガラスはその素材の性質として危険性を内包しています。私がガラスと長年付き合っているのは、自然と同じく二面性があるところに惹かれているからでしょう。使用できるという意味の役立つ作品だけではなく、もっと大きな視点で考えさせる、つまり自分も含めて自分達のいる社会を考えるという意味で、何かしらお役に立てる作品を目指したいです。もちろんユーモアを忘れずに!  あ、現在新作と格闘中です。

2006/08/23 リサイクル 再生 ロハス

この2年ぐらい再生ガラスVrodのプロジェクトにかかわってきて、環境問題の用語について敏感になりました。リサイクルという言葉は一番知られています。ガラスに関して私が見聞きしたことで書くとすると、市場に出る前に工場で排出される廃ガラス(工場内カレット)を使用した商品はリサイクルとは言わないそうです。私は市場に出て使用された廃ガラスと工場内カレットの両方を使っています。特に蛍光管は使用済みのものを使用すると中に入っている水銀が問題になりますので、水銀が入っていない段階の工場内カレットを使用しています。その両方を使用し作品を総称して、私は再生ガラスと言っています。新しい素材として表現として生まれ変わった「再生ガラス」です。

また、ロハス(LOHAS: Lifestyles OF Health And Sustainability 健康と地球の持続可能性を試行するライフスタイル)という言葉も流行語になりました。しかし、どうもつかみ所のない言葉。調べてみると元々はマーケティング用語なのですね。日本ではライセンスビジネスとして発展して、商標権を所有していた雑誌社と大手商社が余りの批判に商標使用料をとるのをあきらめたという顛末には驚きました。

環境ビジネスに関して言えば、私はそれをきちんとビジネスとして認知していれば、評価できることだと考えています。ですが、環境を守ることは正義なので無償で協力して欲しいといった都合のいい「召集礼状」を受けることが重なると、危うさを感じます。

話が戻りますが、私が工芸ガラス材料ではなく、生活に関連のある廃ガラスを使う事に関心があるのは、そのガラスが元々持っている性質や形を生かしながら、新しい表現・創造ができるというところに魅力を感じているからなのです。モノ作りの先輩、焼物、石屋さんなどの仕事場を見ると、「地球に優しい」なんてマークはついていませんが、今で言うところの環境対策を当たり前のようにしていて、エコなんて言うのは気恥ずかしくなってしまいます。

2006/08/06 素材の精度について

7月末に雑誌の取材を受け、5月末に灘建築研究所で行ったインスタレーションを再現しました。打ち放しコンクリートと再生ガラスで構成された作品でしたが、とても相性が良くて効果的でした。その理由を考えてみると、素材の精度が近いということがあげられると思います。光沢かマット仕上げかという大きな分類に加えて、どのくらいの精度があるかということが、壁や天井の質感とのマッチングを決めているようです。ガラスは一般に光沢があり、さらに建材として使われるガラスは精度が高いものが多いです。以前、打ち放しコンクリートの壁に対してVrod型(三角柱)の既製品のガラス棒を使ってみようとしたことがあります。ですが、どうもコンクリートに対して冷たすぎると言うかぴったりこなくて、取りやめました。その理由は精度にあったということが今回よく判りました。再生ガラスはパート・ド・ヴェール技法(低温で型にガラスカレットを入れて焼成する技法)で作っている為に、型枠で成形する打ち放しコンクリートに似た地肌が生まれるというのが、ベストマッチングの秘密です。

2006/07/06 蛍光灯工場見学 - ガラスの耳

蛍光灯を作っている大きな工場を見学させてもらいました。このところ蛍光灯のガラスカレット(工場で排出される廃棄ガラスを小さく砕いたもの)を使った再生ガラスの作品を試作しているので、蛍光灯がどうやって作られているのか見てみたかったのです。なお現在、蛍光灯の製造過程ででる廃棄ガラスは現在では、色々なルートでほぼ100パーセントリサイクルされているということです。ですから、私が行っていることはアーティスティックな興味から生じていることで、身の回りにあるガラスのイメージの再構成、再生です。再生という言葉にはリサイクル以上の大きな意味が含まれています。この件については、別の機会に書きたいと思います。さて、工場見学ですが、機械のリズムが好きな私にとって、様々な工程があちこちのラインで展開されている様子はエキサイティングなものでした。中でもサークル型の蛍光管が炎で熱せられてゴムホースのようにくるくると丸められていく様子はダイナミック!また、百聞は一見にしかずで、どうしてこういう形のカレットが沢山出るのだろうという疑問が氷塊しました。サンドイッチを作る時には沢山のパンの耳がでますが、私が手に入れたのは「ガラスの耳」。どんなものにも端っこがでます。製品にとってそれは不要な部分ですが、実はどんな素材にも言えることですが、その魅力が詰まっているのはこの端っこ。さて何を作りましょう!

2006/04/18 展覧会を終えて

おかげ様で展覧会を無事に終えることができました。12日間で1000人近いお客様に見て頂きました。新しい素材を探しているお客様が多く、板ガラスや蛍光灯のガラスの変身ぶりに関心が集まりました。ガラス展は工芸や美術のギャラリーで開催される事が多く、デザイナーの皆様の目に触れる機会が少ないようでした。デザインギャラリーでお見せする事ができて本当によかったと思っています。これから、再生ガラスが様々なところで使えるように活動していきます。また、同時に現代アートとして、廃材が美しい素材に変わるというテーマを現代文明への問題提言として深いレベルで理解して下さった方もいらして、アーティストとしては嬉しい限りです。貴重なご意見を下さった皆様、ありがとうございました。

2005/12/17 2.4mのVrod

やはり天井まで届く長尺もののVrodが作りたくて, 神奈川の白井さんに焼成をお願いしました。溶け具合、バリの出方、やってみないとわかりません。12/24のクリスマスイブの日にようやく温度が下がり、釜をあけて見る事ができうまくできている様子。ぼたん雪が溶けたようなテクスチャーです。とりあえずホッとしました。

2005/09/26 蛍光管ガラスー研磨

HPに今まで登場していませんでしたが,蛍光灯のガラス(工場で製品にならなかったものなので元々水銀は含まれていないもの。実際に使用された蛍光灯のガラスは再生が難しい)で試作を続けていました。白く雲母のような模様がでます。写真は試しに石屋さんで研磨してもらっているところです。中野社長自らチャレンジ。大理石と同じやり方で鏡のように磨けました。石との違いは粘りがないところだそうです。

2005/09/23 強化ガラス(窓板ガラス)

1週間程前ですが,窓板ガラスの強化ガラスのNG品をNSG関東さん(日本板硝子)に協力してもらい手に入れました。サイズが大きく車に積みこめず工場で割ってもらうことに。ガラス側面をバールで一撃。一瞬の内に細かい粒になりました。写真は大きく割れているようですが,手でほぐすと5~15mm角ぐらいのサイズの粒です。自動車ガラスよりは大きめです。焼成してみましたが,自動車ガラスと同じく石けんの泡のような構造が見えるガラスができあがります。焼成時間にもよりますが,かなり透明な仕上がり。

2005/08/27 強化ガラス(自動車ガラス)

リサイクルガラスに着手するようになって,面白いのは自然に社会の流通構造,製造物のはやりすたりが分かってくることです。例えば,透明な自動車ガラスは古い車にしかありません。最近の車のガラスはUV加工されているからです。また,リサイクルに関する法律によって流れが変わります。さて,そういうことは抜きにしても作るという観点から,自動車のガラスは強化ガラスで割れた時に均等にきれいに割れることからパート・ド・ヴェール技法のガラス材料として,注目していました。ただ,どこから手に入れるか...リサイクルガラスの難しいところは実はそこです。とにかく,自動車ガラスの交換をしてくれるお店を探しました。フロントとリアは合わせガラスになっていてプラスチックフィルムが入っているので,難しくサイドウィンドウが最適です。とにかく,ビニールテープでべたべたに貼付けられたガラスをget! 紫外線をカットするために青みが強いです。これを焼成した結果はまた後日。

2005/05/14 窯組み

Vrod(リサイクルガラスを焼成した断面三角の細い棒)の試作の為に窯組みをしました。Cadで設計した時は「おお〜まるでマンションみたい」などと気楽なものでしたが,実際やってみると,「重力」という重要な要素を思い知ることになりました。構造的に,作業する肉体的に。建築と違うのは,窯組みの場合,棚板(建築なら床ですね)のバランスを取るために3点で支えるようにします。焼成によって温度が上がった時に微妙に鋳型もガラスも動くからです。建築も設計にそういう逃げを作ってあるのでしょうが,とにかく普通マンションは焼かないわけで。ついSF的に違う惑星の生物で800度ぐらいの温度差に耐えられるならば,全く違う住み方をするのだろうと想像してしまいました。ちなみにこの窯の幅は2080mmです。

2005/04/07 リサイクルガラスと記憶

リサイクルガラスを使った試作品の為に近所のガラス屋に古い板ガラスをもらいに行きました。私は現場が好きで、いつも職人さんに色んなことを聞いてしまいます。古い石とか陶器に比べ、古い板ガラスって素材的になんの魅力もない感じがしますが、私はついそれを見て来た人の眼を思いおこしてしまいます。今日もらってきたのは、市営の霊園の室内の掲示板に使われていたもので、枠を新しくするのでガラスも取り替えになり、古いものをガラス屋さんが引き取ってきたものです。霊園の掲示板って、ものすごく特殊な環境ですね。「記憶」は私のテーマではあるけれど、余りにもはまり過ぎていて恐いかも。ところで、ガラス屋さんはそれがどの位前のものかもちゃんと覚えていました。ダイヤモンドのガラスカッターで車で運べる適当な大きさにカットしてくれました。切るときのツーっという音はダイヤモンドカッター独特のいい音です。次はどこのガラスが手に入るのでしょうか。ハッピーな場所のも欲しいですね。

2005/01/01 窓からケータイへ

昨年末に荻野昌利氏の『視線の歴史〈窓〉と西洋文明』という本を読みました。自分が窓とどのように関わってきたかをまとめてもらった感じです。そこにはなぜ人は窓の外を見るのかという素朴な疑問の答えがありました。ステンドグラスから自分の仕事をスタートさせてきましたが作品がどんどん光を通すものに変わって、色彩が少なくなっていったのは無意識だったにせよ、自分の精神世界の変化と連動していたことに気付きました。それは内面世界の表現から外の世界につながる表現への変化です。しかしながら、それはそんなに単純な方向性のものではないようです。透明性があることや大きな窓は一見、解放感があるように思えますが、これも行き過ぎるとかえって疎外感を感じさせるものになってしまう...また、いまやケータイの小さな画面が今までの窓の替わりの一部を果たしています。窓はどこに行くのでしょうか。

この中にいくつの窓があると思いますか?この写真は11月に訪ねたパリのノートルダム南面の改修現場で70cm角ぐらいの巨大なステンドグラスのバラ窓の一部を開けてもらった時のものです。